短編集
恋心
「先輩、まだかなぁ……」
私は、相変わらず萱瀬先輩を待っていた……。
足音が聞こえる……。
向って来てる。
先輩……?
心臓が音を早める。
その音は近付いてきて、そして……ドアが勢いよく開いた。
萱瀬先輩、だ。
「ごめん、待った……よね」
さっきまで不安だった気持ちが、一気に無くなり、途端に安心していた。
あぁ、私、萱瀬先輩が好きだ……。
そう、確認するように思っていた。
「大丈夫ですよ。走ってきたんですか……?そこまで急がなくても平気だったのに」
嘘。
早く会いたかった。
でもそんなこと、言えないから……。
「いや、早く来たかったんだ」