短編集

「……わ」


私、だ……！


そこには自分の顔が描かれていた。

そんなことはモデルになった時にすでに知ってはいたけど、でも……完成した絵を見ると、なんとも言えない感動がある。

凄い、と思った。


緊張したような絵になってるかと思いきや、先輩は私が安心している時の柔らかい表情を、絵にしてくれていた。

色遣いも、キレイ……。


「未妃ちゃん」


先輩の絵に魅入っていると、不意に呼ばれた。


「……はい？」

「さっき言ってた、『話したいこと』なんだけどね」


……あ、そうだ。

絵が完成したその後に、先輩は話したいことがあると言っていた。


さっきまでそれを散々脳内に巡らせていたのに、いつの間にか妄想がとんでもないところまで発展していて忘れていた。


緊張してきた、かもしれない……。