短編集
それでも、詩織はにこにこいつもの笑顔で変わらない。
この新谷君ですらダメか……。
絶対に新たにクラスの仲間が増えただけとしか思っていないだろうな。
顔より性格派なのか。
そう考えていた時、新谷くんとバチッと目が合った。
彼は優しく笑ってくれた。
あたしは……なぜだかよくわからないけど、サッと目をそらした。
顔が熱い。
よくわからないけど、困る。
女子の眼が変わったことなんて、こんな私は気付かなかった。
後日、とても人気(モテモテ)な新谷くん。
その噂はどんどん広まり、やむ気配はない。
そんな新谷君が来てから十数日が経った頃の昼休み、詩織に変化が訪れた。
「……新谷くん……?」
「ど、どうしよ……どうしたらいいのかわからないのっ」
なんと、詩織に春が訪れました。