短編集


その赤い自転車のカゴの中には、真っ黒な折りたたみ傘が入っている


今自分の持っている傘を見た。

ド派手なピンク。

花柄まで付いている。


一方、折りたたみ傘は黒くてシンプル。


何の絵も描かれていない。


「黒の方がいいじゃん!!男がピンクなんて怪しまれるし、このチャリペダルがついてないからどうせ捨てられてんだろ」


そう言って祐斗は、赤い自転車のカゴにあった黒い折りたたみ傘を持って行ってしまった――。







『……いーち……』










ヒトという生物は


一度成功したことに


もう一度挑戦したくなる
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