短編集
その二週間後。
その日からはもう
――逃げ出すことが出来ない――
「あれ!?あのチャリだよな?」
いつもの駅の駐輪場。
今日の赤い自転車には、ちゃんとペダルも付いていて、普通に使える自転車だ。
カギも付いている。
「フル装備じゃん!!」
それは、ワナ。
「でもいつもココに置いてあるよな?カギ付いてるし…乗ってくか!ちょっと借りま〜す」
――彼女の、ワナ――
そして、最終的に、自転車自体を盗んでしまった――。