短編集
目が覚めると、白いベットの上。
「………病……院……?」
「祐斗!!ったく心配かけて!!アンタ道路で意識失ってたんだからね!?」
母の声を聴いて目覚める。
……俺はなんてことをしてたんだ……。
「……そうだ、赤いチャリ」
「はい?」
「母さん、赤いチャリのことなんだけど……」
「なにそれ?」
あの自転車を、知らない……?
「俺が倒れてた近くになかった?赤くてボロいチャリ」
「なかったわそんなもの。あったのはアンタの足に付いてた紙切れだけ。何も書いてないけど一応渡しておくわ。はい」
そう言って渡された紙には、赤い文字でちゃんと書かれていた。
『みーつけた。
アナタの』
「負けね」
読むと同時に声が聴こえた。
声のした方を見ると、窓の外で宙に浮いている、ニヤリと笑う少女。
『アナタにあげた分、代わりに足をもらったから』