短編集
久々の部長との対面に、わたしは目をそらす。
正直、この人は怖い。
「アンタ一ケ月も練習休んで、バカじゃないの!?」
「スミマセン……。あ、でも勝手にアドレス交換しないで下さいよ」
「ん?何のこと……あぁ、これはこれは」
部長が距離を詰めてニヤリと笑う。
――しまった。
「ははーん、そうかそうか。黒沢泉、確かに10年も一緒なら好きにもなるか」
「な……!!ち、違います!からかわないでください!!」
部長の言葉にムカついて、コートに立ってからはひたすらにボールを打ち返してやった。
部長、ムカつく……!
「あれ?」
気付いた時には、泉はいつもいるはずの定位置にいなかった。
いつもはあの角でみているはずなのに……。
でも、少し離れたところにその姿は見えた。
誰かと話している。
あぁ、同じクラスの友達か。
ちょっと疲れた。
泉にスポーツドリンク買いに行かせよう。