短編集


そう思い、2人に近付いて行くと、少しずつその会話が聞こえてくる。


「……からかうなよ」

「いつまで黙ってるつもりだ?」

「言えるはず――」

「何が?」


びくっと、2人の肩が驚いたように上がった。

2人してゆっくりとこちらを振り向く。

……なんだ?


「麻衣お嬢様、いつからそこに……」

「さっきよ。何を話していたの?」

「……いえ、ただの世間話ですから」


ごまかした。

気になるわ。


「言いなさい」

「世間話です」

「具体的にどういう?そこの隣の男」

「え!?俺!?」


2人して目が泳いでいる。

気に入らない。


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