短編集
「嘘は嫌い。でもごまかされるのも嫌いなの。分かるわよね?」
「……はい」
「それでもどうしても言えない事?」
「……」
そこまで話したくないのなら、もう泉なんて知らない。
「帰るわ」
「え、部活は……」
「知らないわよ泉も部活もポカリも何もかも」
「ポカリ?」
「バイバイ、あんたはせいぜいお友達と世間話とやらを楽しんでれば?」
……我ながら、短気だ。
子供の頃からわたしが勝手に怒りだして泉を困らせることなんて、山ほどあった。
下僕だもの。
でも……下僕がわたしに秘密を作るなんて、今までなかった。
……気付かなかっただけ?
ううん、誕生日のサプライズはあっても、隠し事は無い。
あっちゃいけない。