運命に導かれて 番外編
その頃ルカは
何故か怒り心頭で出ていった羽衣の後を追おうとして部屋を出たところで、ジャンに捕まり、至急目を通して欲しい資料とやらのせいで執務室に籠もっていた。
とりあえず資料に視線を落とすが、心ここにあらず、羽衣のことが頭から離れずにいた。
ルカとしては何故羽衣が怒っているのか見当もつかずしかもかつて見たこともない程の怒りだった為に、考えれば考える程に頭が混乱していく。
いつの間にか資料のことなど忘れ、デスクに肘をのせ一国の王子とは程遠い間抜けな表情を浮かべていた。
―――コンコン――――
控え目なノックに我にかえると、その音に僅かばかりの期待をこめて入室を促した。