運命に導かれて 番外編
「それが…羽衣様は太ったと思い違いをしていらっしゃるようで、ダイエットを始めるなどと仰っています。」
「ダイエット?」
突然何の話かと思う程にルカは素っ頓狂な声をあげた。
それが何故怒りと結びつくのかわからないし、またそんな必要は皆無で、逆にそんなことをされては困るのだ。
ルカが立ち上がり見やるその先には、同じように困惑した表情のアリーがいて。
「大変申し上げにくいのですが……ルカ様のお言葉があったからかと……。」
「…………俺の?………あっ!!」
アリーが皆まで言わずともルカはどうやら気がついたらしい。
顔を蒼白にして大声を上げたかと思うと、一目散に執務室を飛び出して行った。
残ったアリーは、ここからは2人で解決すべきだと知っているので後は追わず、上質な絨毯敷きの床に音も立てずに散乱していった書類たちを拾い集めていた。
「…アリー……」
しばらくして執務室に戻ってきたジャンは、この部屋の主は忽然と姿を消し
変わりに執務室では目にすることのない人物がそこにいることに、驚きを隠せなかった。