運命に導かれて 番外編
「アリー。ごめんなさい。あたし食べれない……。」
そう呟いた瞬間、さっきまで吊り上がっていた眉はシュンと一気に垂れ下がり、大きな瞳は涙が今にもこぼれ落ちそうな程に潤んでいる。
「羽衣様?どこか痛むのですか?」
アリーが慌てて羽衣の顔を覗き込む。
「違うの……体は元気だから心配しないで?」
羽衣が痛みを感じているとしたらそれは心で、体には異常のひとつさえ感じられない。
「あの……あたしが聞くのは身分不相応ですが……。」
アリーはおもむろに口を開くが、やはり躊躇われそれ以上先に言葉を繋げることがなかなか出来ずにいた。
「身分なんて、そんな悲しいこと言わないで。あたしにとってアリーはとても大切で大好きな人だから。でも…アリーの立場があるのなら……あたしの話聞いて欲しいの。それならいいよね?」
羽衣としてもアリーには聞いてほしかった。
羽衣はアリーとは、友達のように姉妹のようにいたいが、立場がそれを邪魔するのなら、逆に立場を利用すればいい。
アリーも頷いたことを確認すると静かに口を開いた。
「あたしダイエットする。今そう決めたから。アリーに宣言するね。」
てっきり悩みでも相談されるのかと思えば、突然のダイエット宣言にアリーは目を見開く。