声にならない言葉

出逢い

22歳の夏、

家を出て一人暮らしをする為に、美羽は会社の仕事とは別にバイトを始めた

まだ、一週間しかたっていないのに、バイト先の６歳年上の謙二はいつも

『これ、よろしく！』

ぶっきらぼうに書類を置いて去って行く

『はい！』…ったく！

そぅ、思いながらも、なんとか仕事を終わらせていった
美羽は仕事を終え自宅へ向かった

途中、信号待ちしていた時だった
前の大型トラックがいきなりバックランプ！

『ちょっ、ちょっと！！』
美羽は焦って、車内でバタバタしながら焦っていた
しばらくすると、気がついたのかトラックは前進して行った

『よかった！』

ホッとしながら、ルームミラーに目を向けると、後ろにはバイト先の謙二の車

（今の…見られてかなぁ…）
次の信号の時、謙二の車が横に並び、窓を開けながら笑って

『気をつけろよ』
そぅ言って右に曲がって行った

（恥ずかしい！…見られてたんだぁ）
美羽は真っ赤になりながら自宅へ車を走らせた


次の日のバイトの時

いきなり背中を叩かれ
『あれはびっくりするよなっ(笑)お前、あっち方面なんだ！』
と、謙二が声をかけてきた
『はっ、はい。そぅです。』と、美羽

『後ろから見てたら(笑)ハムスターが運転してるのかと思ったよ(笑)』
そう笑いながら去っていった

（ちょっ、ちょっと…ハムスターって…）
美羽は真っ赤になりながら仕事を始めた



バイトの仕事も終わり、駐車場まで行く途中謙二が声をかけてきた

『お疲れ！どぅ、少しは慣れたか？』

『は、はい！』

『俺も今終わったんだけど、腹減ったから飯食いに行くぞ！』

『は、はい！』

美羽は謙二の勢いに負けて、思わず返事をしてしまった


食事をしながら、お互いの事を少しだけ話していった
『そっかぁ、お前はエライよ。親に迷惑かけたくないんだ。』

『そんな事ないです』

美羽は勢いで食事に来た事を後悔しはじめていた

（軽い女