声にならない言葉
(軽い女だって思われたかなぁ…)

『あれっ!?』
美羽は思わず叫んだ

『結婚してるんですか?』
『あぁ、一応ね』
謙二はあっさり答えた

『奥さんに怒られますよ。女の人と一緒にいたら…』
『…女!?…誰?…
ハムスターなら目の前にいるけど(笑)』

『ひっどぉ~い!ふざけてる場合じゃないですよっ!』
美羽は少し怒りながら言った

『ごめん!ごめん!…今、子供連れて実家なんだ。
こんな時間だし、一人で飯食べてもさっ…お前暇そぅだったし(笑)』

笑いながら謙二は言った


美羽はふくれながら…
『もぅ、いいですっ』

美羽は少しだけドキドキしていた自分が恥ずかしかった

そんな美羽をみて

『わるかったよ…でもさぁ…俺だって誰でも誘う訳じゃないからっ…』


普段見ない謙二の真面目な顔に、美羽はドキッとした

『まっ、一人暮らしみたいだし、一緒に飯食うくらいならいいじゃん』

いつもの謙二に戻った

美羽はからかわれている気分になり、黙って食事をすませた


二人は店を出た

『今夜は悪かったなっ、俺なんかに付き合わせちゃて…
でも、お前と話せて楽しかったよ。ありがとうなっ。』

『とんでもない。なんかご馳走してもらっちゃって…すみませんでした。』

『いいんだよ!俺がさそったんだし…でも…』
謙二は言葉をつまらせた

美羽は
『なんですか?』

『イヤ…いいんだ!気をつけて帰れよ!』
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