声にならない言葉
優しさ
謙二はタクシーを使わず、近くの公園へ美羽を連れて行った

公園のベンチに座り

『今夜は星が見えるから…たまには、こんなのもいいだろ?』

美羽は少しドキドキしていた。
誤魔化すように

『似合わないですよっ(笑)』

『お前なぁ~ったく!(笑)』


何でもない会話…でも、美羽は気づいていた

(私が酔ってるから…車にすぐ乗せなかったんだぁ)
そんな、さりげない謙二の優しさに美羽はひかれていった

また、謙二は自分にない素直さを持っている美羽が気になっていた

星空を見ながら、二人の時間が過ぎて行った


突然、美羽は…
『今日はありがとうございました。早く帰らないと、奥様が心配しますよっ!』
本当は一緒にいたかったが、謙二の事を心配して言った。

『あぁ…そぅだなぁ…お前、もぅ大丈夫か?』

謙二は少し淋しそうに問いかけた。

『はい!大丈夫ですっ。タクシー拾って帰れます。』
そぅ、言ったものの…謙二と二人でもっといたかった。
お互いが相手を思うあまりそれ以上言葉が出てこなかった。


家に帰った美羽は…

(もっと、わがまま言えば良かった…酔ってたんだし…)

美羽は幼い頃から我慢する事を自然と憶えてしまっていた。

わがままを言って人に迷惑かけたくない…常にそんなふうに生きてきた。
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