摩天楼Devil
それに、なんだか……

怯えてるのは、篤志さんの方に見える。


わずかに震えを感じる背中に、そっと手をまわした。


私ができたのはそれだけ。


あとはどうしていいか分からなかった。


「……妃奈、約束だ。彼とは会うな」


どうして、お兄さんに対して、そんな風に思うのか理解できないけど、今はうなずくしかないよね。


「はい、大丈夫ですよ」


あんな御曹司が、私みたいな、ガキンチョ(自分で言うな、って感じだけど)に、声なんかかけてくるわけないじゃん。


篤志さんだって、パシリに……


したいだけだもんね……。


私のこと利用したいだけ。


ってあれ?

真悠子に否定したくせに、私なんでこんなこと考えてるの?

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