摩天楼Devil
「分かりました。その時はちゃんと準備します」


命令といったくせに、彼は、ありがとう、と微笑む。


やっぱり、必要なことなのかな?

ま、いいか。
イブニングドレスなんて、普段着る機会ないし、ちょっとラッキーかも。


「妃奈。勉強の時間だ」


「はい」


そうそう、今日はこれがメインなんだよね。


中央に用意されたテーブルに並んで着く。


「赤点だったのは、確か……」


あまり、“赤点”とか言ってほしくないな。


「英語と数学と日本史です」


「普通は、得意、不得意が文系、理系と分かれると思うんだが、なんだその偏った結果は……」


篤志さんは、私がカバンから、教科書やルーズリーフなどを出すところを見据えてた。

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