摩天楼Devil
「50円も立派な金だ。それと、かなり不快だが、妃奈は俺とキスするのが嫌みたいだから、それがあれば、意地でも頑張って、正解を目指すだろ?」


ぷい、と篤志さんは顔を背けた。


不快なのは、私よりも彼みたいだ。


何が不快なのかは、不明だけど……


私はまた席に着く。


プリントを見ながら、ふと本音を漏らした。


「キスは嫌……」


「なら、正解しろ」


と、篤志さんはテーブルに肘をつき、やる気なさげに言った。


「無理だもん……それに、キスが嫌なのは……こんな罰則みたいに利用してほしくないです……」


しつこいようだけど、ファーストキスは好きな人って決めてた。


私はキスを大切なものだと思ってる。


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