摩天楼Devil
「たく、怪力女」


どうやら、どついてしまったみたい。


「うぅ、だって……これ慣れない……」


「だから、するんだろ。慣れるまで」


慣れろ、ってこと?


「嫌じゃないんだろ?」


嫌に決まってる。

でも、彼の質問の答えとは違う。


篤志さんは、キス自体のことを言ってる。


私が嫌なのは――


「ふ、普通のキスがいい」


「それは分かった。罰則にはしない」


また、意味合いが食い違う。


「違います。え、えっと……その……」


――で、ディープキスって、言いにくいよ!


恥ずかしさと焦りで、またパニックになる。


「妃奈?」


「あ、あの……」


――ディープは慣れないからしたくない。恥ずかしい。

< 122 / 316 >

この作品をシェア

pagetop