摩天楼Devil
じ、じゃあ、ふ、普通のキスならいいわけ?


――わかんないよ~!


「妃奈、ごめん。無理しなくていい」


本当に、優しい教師みたいな紳士な声色だった。


――不思議。普段、顔色窺うような仲だからかな?


そんな風に、穏やかに接してもらえると、一気にホッとした。


「そ、そうですか、それはよか――」


「ゆっくりでいい。今で十分ガキ臭いんだから、キスくらい覚えろよ」


「はい?」


「はい? じゃない。ほら、さっさと勉強だ。一問目は、カッコを埋めるだけじゃないか」


篤志さんが、トントン、とプリントを指先で叩く。


早くやれ、と急かしてる。


じゃ、集中力失うような言動取らないでよね。

< 123 / 316 >

この作品をシェア

pagetop