摩天楼Devil
無駄口叩くな、って言われるかな? と思ったけど、

教えることがなくてヒマだったのか、篤志さんは普通に聞いた。


「うん、それで?」


「菅野美穂が演じるヒロインはね、地元に好きな人がいるのに、お殿様のお嫁さんになっちゃうの。

この時代じゃなくても、将軍様の結婚って、みんな政略結婚でしょ。辛くなかったのかなぁ?」


開いたページに、北条政子の文字を確認した。


同時に、横から冷めた声がする。


「ま、割り切ってる奴もいれば、自害とか駆け落ちするほど、追い詰められる奴まで、それぞれだろ」


「よかった。今の時代に生まれて。パパもママもなんだかんだで仲良いし……」


そういや、篤志さんのお母さんはどんな人なんだろう?


「あの、篤志さんのお母さんって――」


考えたことをそのまま、質問しようとした。
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