摩天楼Devil
どんな人ですか? と言いきる前に、素早く篤志さんは、


「無駄口を叩くな」


と、強めに言った。


お兄さんのときは、苦笑してた。


そして、今回は予想もしてなかった反応で、とっさに謝った。


「ごめんなさい……」


「いや、こちらこそ……ちょっと、コンビニ行ってくる。水切らしてたから……」


私の頭を一度撫でると、今度こそ苦笑して、彼は立ち上げる。


「行ってらっしゃい」

と、座ったまま見送ってしまう。


ドアが閉まる音を聞くと同時に呟いた。


「悪いこと、訊いちゃったのかな……」


お兄さんのときは寂しそう。

お母さんだと、ちょっとだけ怖かった。


――そういえば……


お父さんはどうなんだろう?


今みたいに質問したことあったっけ?


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