摩天楼Devil
「何かあったり、何か辛いことがあったら、必ず報告や相談してくること。約束よ。

うんでもって、あんたが泣くようなことがあれば、御曹司だろうが、石原良純だろうが、ぶっとばしにいくから」


「真悠子……うん、分かった。ありがとう……」


私が彼女の小指に、自分の小指をかけると、真悠子は照れ臭そうに笑った。


それで、自分も笑顔を返した。


「でも、石原良純は余計よ」




    * * *


その日の放課後、掃除をしてくれ、と言われていたので、マスクを持って、部屋に行った。


すると、先に階段前で叔母さんに会った。


「あ、妃奈ちゃん。今日もお疲れ様。実はね、これを渡しておいてほしい、って篤志君から」


白い封筒だった。


「お父さんには内緒ね。見せちゃだめよ。誤解させちゃうから。
どうせ、この“お仕事”のことは、お母さんしか知らないんでしょうけど」


< 134 / 316 >

この作品をシェア

pagetop