摩天楼Devil
開けちゃお、いやいや、プライバシープライバシー。


個人情報保護法よ(?)

もとい、不法侵入ね。

鍵穴から、鍵を抜いた頃、足音がした。


「妃奈か」と、寝ぼけたように、ぼーっとしてる男性が顔を出し、クシャクシャになった頭を掻いてる。


「寝てたんですか?」


「ああ、ちょっと眠くなってな。うとうと程度だったから、呼び鈴で起きた。ところで、鍵を渡されなかったか?」


「え、ええ……」


洋間に入ると、レポート用紙やノート、ルーズリーフが床に散らばり、

机の上には分厚い本が数冊開いたものや、重ねてあるもので埋まってる。


「勉強中でした?」


「寝てしまう予感がしたのもあって、おばさんに鍵を預けておいたんだ。それは持っておいてくれ。必要なときは使ってくれていい」


「必要なとき?」


彼は手ぐしで、簡単に頭を整える。


< 136 / 316 >

この作品をシェア

pagetop