摩天楼Devil
「そう……」


「そう、じゃない。気をつけろ、言ったはずだ。案の定……」


「や、言わないで!あんなの、あんなこと――」


それから、彼の胸で泣いた。


熱くなったのは、私の身体じゃなかった。


――あれ?熱い?


彼の背中を撫でた。


その時、私を慰めるため、頭を撫でてた手が落ちた。


まるで、もたれかかるように、篤志さんは私に寄って、うなだれる。


私は急いで、支えになり、額に手を置いた。

咳をしていた彼。やっぱり、風邪だった。


「大丈夫だ。妃奈」


と答えつつ、傍のガードレールに座る。


私は携帯で、叔父さんに連絡を取った。


そして、三人でアパートに帰った。


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