摩天楼Devil
「たく、夜通し勉強ばかりしていたんじゃないのか?」


叔父さんは篤志さんに肩を貸し、部屋まで送り届けた。


私はその後ろについて、一緒に入る。


彼をベッドに座らせると、叔父さんは着替えて寝るように言った。


「アイツにお粥を作らせるよ。ちょっと待ってて。薬はある?」


「いえ、ないです」

と答えつつ、篤志さんはしんどそうに、額を押さえる。


「じゃあ、私が買ってくる」


必死な姪を、叔父さんが止めた。


「ウチにある。妃奈は帰れ」


叔母さんが看るという。


「ここにいる……」


首を振ると、篤志さんが言ってきた。


「うつしたくない。妃奈は帰れ」


大掃除や模様替えだと思い込んでいたから、マスクを持ってた。


付けるから、いさせてほしい、とねばった。


「……パシリだもん……お世話する……」


「着替えるから、一人にして」


ああ、と叔父さんは私の連れて、部屋を出た。


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