摩天楼Devil
ゲーム、ランドセル、スニーカーなど、それからも取られ続けたそうだ。


一人っ子の私は、理解できないことだった。

ううん、もしかしたら兄弟がいる人も。


だって、これだけでも何だか異常だと思った。


ただのケンカなんてレベルじゃない。


取り合いならまだしも、奪ったものを壊す、なんて――


スニーカーはヒモ切られたり、ランドセルにはカッターで傷を入れられたらしい。


私は何も言えなかった。


「また……彼は同じことを……」


「また?」


「あの人は、俺が大切にしてるものを……また、壊しに……だから……」


彼はそこで咳き込む。


「寝てください。ごめんなさい……迎えにきてくれたから、悪化させちゃったんじゃないんですか?」


車から飛び出した私を抱きとめてくれた時、息が荒かった。


きっと、急いできてくれたんだ。
さっき、叔父さんが謝ってたのも――


って、あれ?


助けにきてくれたってこと?

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