摩天楼Devil
お兄さんに、近付くな、って警告してたのは?
「あ、あの……篤志さん……」
「――忘れろ」
そう言われた時は、何のことか分からなかった。
でも、身体を離した彼が指で、マスク越しの唇にそっと触れて、ハッとした。
「無理、です……」
泣きたくなった。
鮮明に、感触と気持ち悪さを思い出した。
私の心配をしながらも、彼自身すごく苦しげに咳き込む。
私は横になるよう頼んだ。
しばらくして、叔母さんがお粥を持ってきた。
食欲はないようだけど、薬は食後に飲むタイプだったので、軽めに食べもらった。
薬を飲んで、1時間ほどすると、寝息が聞こえてきた。
私は寝顔に浮かぶ汗を、起こさないよう静かに拭いた。
私は本を読んだり、勉強したりしながらも、傍にいた。
その間、汗を拭いたり、氷枕を変えたりもした。
外はすっかり暗くなり、
「送っていくから帰ろう」
と叔父さんに言われた。
「あ、あの……篤志さん……」
「――忘れろ」
そう言われた時は、何のことか分からなかった。
でも、身体を離した彼が指で、マスク越しの唇にそっと触れて、ハッとした。
「無理、です……」
泣きたくなった。
鮮明に、感触と気持ち悪さを思い出した。
私の心配をしながらも、彼自身すごく苦しげに咳き込む。
私は横になるよう頼んだ。
しばらくして、叔母さんがお粥を持ってきた。
食欲はないようだけど、薬は食後に飲むタイプだったので、軽めに食べもらった。
薬を飲んで、1時間ほどすると、寝息が聞こえてきた。
私は寝顔に浮かぶ汗を、起こさないよう静かに拭いた。
私は本を読んだり、勉強したりしながらも、傍にいた。
その間、汗を拭いたり、氷枕を変えたりもした。
外はすっかり暗くなり、
「送っていくから帰ろう」
と叔父さんに言われた。