摩天楼Devil
篤志さんのおでこや、首筋の汗を吹いたあと、私は首を振った。


「妃奈。明日、学校だろう。準備だってあるだろ?それに、お前まで倒れたどうする?」


「平気だもん」


小声だったけど、彼が起きてしまった。


「妃奈……」


「あ、ごめんなさい。起こしちゃって」


「帰れ」


拒否しようとしたら、叔母さんが来た。


「妃奈ちゃん。ちょっとおいで」


と、部屋の外まで呼ばれた。


「お母さんには電話しておいたけど、心配してたわよ。夕方になっても帰らないから」


「今日は泊まる。うまく言っておいて」


「妃奈ちゃん……好きな人が、自分のせいで倒れた、って思ってるんでしょう?」


彼女はお見通しだった。


「だって、私がお兄さんといるって知って、慌てて来てくれたんだよ。ずっと、咳してて、風邪かもしれないって分かってたのに……私のせいで……」


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