摩天楼Devil
私は起こさないよう、ゆっくり寝室を抜け出した。


私は鍵を持って、彼の部屋に行った。


玄関をそっと開けると、灯りがついていた。

その洋間から、足音がして、え? と思い、早足で向かった。


熱があるはずの、彼は机の本を開こうとしてた。


「あ、篤志さん!」


「妃奈?まだいたのか?」


「眠ってなきゃだめです!」


「君こそ。どうせ、無理に理由つけて、叔母さんのとこに泊まったんだろう?早く、戻って寝ろ」


彼は椅子に座って、睨む。


「篤志さんがちゃんと休むまで帰らない」


「妃奈!……いい加減に……って、また泣くな……」


「心配して眠れないの……なのに、ちゃんと休んでくれてないから……」


「ノドが渇いて、水を飲んだら、ちょっと目が冴えてて……おいで」


篤志さんはいつかのように、私を膝に乗せた。


それから、私の手を自分のおでこに置く。


「だいぶ、下がったと思うよ。叔母さんや、妃奈のお陰だ。でも、ぶり返すとよくないもんな。ちゃんと寝る」

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