摩天楼Devil
確かに、声は男。


「あ、そうだ。篤志さん――は、目の前に……」


篤志さんはベッドに座って、私を見下ろしてた。


「あ、あのまま?」


寝ちゃったんだ。


バタバタ、と足音が外から聞こえ、


「妃奈ちゃん!?まさか、ここ!?」


早朝、叔母と叔父、そして雇い主に、


思いっきり、叱られた。


4人揃っての朝食、自分以外はみんな不機嫌。


「だ、大丈夫よ。私、丈夫だから、絶対うつらないし……へへへ」


温厚な叔母さんが、目を釣り上げる。


ママと兄弟なのは、叔父さんで、叔母さんは血の繋がりがないはずなのに、なぜか似てた。


「妃奈!」と初めて呼び捨てにされた。


「ご、ごめんなさい……」


だが、さらに悪夢は続き――


数日後、私はベッドにいた。


「う、うつった……」


氷枕に頭を埋め、落ち込んでた。


「ああ、真悠子とまたお弁当交換するはずだったのに、おばさんの玉子焼きぃ~……」


「妃奈。篤志さんが来てくださったわよ」


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