摩天楼Devil
どうやらそこが住処らしい。


神崎のおじさんは、無表情で、車に戻る。


「誰?」


「息子だ。だが、パパにも誰にも話しちゃいけないよ。近々、正式に言うがね。絶対、内緒だ」


神崎のおじさんの声は、ちょっと怖く、うん、と即答した。


内緒の息子、ってなんだろ?

と首を傾げた。


なんとなく、会ってみたい気がした。


登下校の道から、さほど離れていなかったので、寄り道をした。


例のアパートだ。


今思えば、子どもでもかなり怪しい。


アパートの前で、うろうろしてた。


どうしたものか、と悩んでたら、今朝見た、お目当ての高校生が、目の前のドアから出てきた。


「あ、ニイチャン!」

思わず、指差した小学生を、彼は睨む。


「どこのクソガキ?」


「藤堂」と、苗字を言ってみた。


「はあ?とうどうだぁ?知らねぇよ」


「パパは神崎のおじさんのイトコだよ」


< 197 / 316 >

この作品をシェア

pagetop