摩天楼Devil
その名は、地雷だったのか、バタンとドアが閉まった。


「ニイチャン、ニイチャン」と、俺は呼ぶ。


「誰が兄ちゃんだ。コノヤロー」


実の兄と同じく、冷たい感じの人間なのに、なぜか嫌いじゃなかった。


たぶん、表面だけだから。


兄ちゃんは俺を部屋に上げると、ジュースをくれた。


飲んだらさっさと帰れ、とは言ったけど。


帰宅後、いつもの地獄が始まる。


まず、兄ちゃんからプロレスの技を一方的にかけられ、見えない場所を殴られる。


黙って耐えていたら、彼は隠してたはずの、ガン〇ムのプラモデルを取り出した。


「やめろ!」と叫ぶも、それはガチャンと叩き落とされた。


「ばーか」


兄は、俺の部屋を後にした。


すぐに、ある女性が飛び込んできた。


「篤志ぼっちゃん」


母ではなかった。


るみおばちゃんだった。


泣いてるといつも、抱きしめてくれる。


兄だけしか見ない、母ではしてくれないことを、この家政婦がしてくれてた。


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