摩天楼Devil
父さんは、兄の言動を見て見ぬふりで、俺にとって、るみおばちゃんだけが支えだった。

が、それも今日まで、もう一人気に入った存在ができた。


「兄ちゃん、今日はどこ行くんだ?」


「さあ?気の赴くまま」


兄ちゃんは放課後や休日、必ずといっていいほど、適当に歩きまわる。


ただの散歩や、散策ではない。


ある公園に着くと、まだオムツを着けてるような歳の女の子が、母親に支えられながら、犬をよちよちと追ったりしながら、遊んでる。


パシャ、とシャッター音がした。


「兄ちゃん、この頃は変質者の事件多いから、怪しまれるぞ」


「……俺のどこが怪しい」


兄ちゃんはカメラをアタッシュケースにしまう。


「冗談だよ。ま、カメラマンだ、って言えばいいんだよ」


「プロでもねぇし、かといって、アマチュアともいえない学生じゃ、確かに怪しまれるかもな。部もサークルもないし」


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