摩天楼Devil
「老けすぎよ!25くらいだと思ったわ!……ってか、秘書はいらない!?」


混乱するバイトに、彼は真顔で告げた。


「いらない。欲しかったのは、ちょっとしたお手伝いさん。あの叔父さんも、今日まで誤解してたみたいだね」


――もう、あのオッサン!


「お手伝いって、パシリじゃない!私は辞める!今日の時間の分だけ給料ください!」


藤堂さんは私の手のひらに、「はい、お駄賃」と――


100円玉を乗せた。


「大学生のパシリなんて、こんなもんだよな」


いいや。もうこんな人と会いたくないし、地道にバイト探すわ。


「ありがとうございました。じゃ、失礼しま……」


一礼して、顔を上げた瞬間。


「んんッ……!」
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