摩天楼Devil
《Rose decora》は、父さんの通信販売会社でも取り扱っており、その関係で、所属のデザイナーにも知人がいる。


――ふーん、この子も好きなんだな。


「しーらない。そういって、まともに勉強したことないんだから」


母親らしき女性は、ぷりぷりと怒り、さっさと歩きだす。


「もう、待ってよ。ママ!」


そして、俺はあることを思いついた。


それを実行するのは、もう少し後。


大家さんとなる、彼女の叔父さんが、うまくやってくれないと……


    * * *


「秘書!?そんなものがいるのか!?」


おじさんは、包丁を落としかける。


「そんな驚くことじゃない。
ちょっと、父さんの仕事を手伝うことになって……大学もあるし、その俺を手助けしてくれるバイトがほしいんだ」


――嘘だよん。秘書はいらない。
何より、父さんの仕事の手伝いなんかありません。


ごめん、騙して。


こういうことなら、おじさんなら、信用できる女の子を探すと思うんだ。


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