摩天楼Devil
約束通り、したかったキスをしてやる。


「ふ、ぅ、ん……っ」


時折、可愛い反応。


舌を取り、無理矢理絡ませる。


一通り味わって、解放した。


「ふぇ……」


彼女は辛そうに、舌先を出していた。


わざと、自分の唇がまだ近い位置で、写メを撮影した。


妃奈はますます驚き、舌を引っ込めて、横を見た。


ほぼ同時に携帯をしまった。


「な、な……ななっ」と、怒りと驚きの声を、彼女は発する。


俺はわざと優しめに笑う。


「妃奈。バイト続けるよね?」


続けられるか! とでも思ってんだろうな。

ま、逃げられないんだけどね。


少しのあいだ、我慢してよ。と、妃奈が帰ったあと、その写メを眺めた。


うるうるしてるまるっこい目が可愛い。


まるで、ウーロンハイで酔ったあの日みたい。


すでに、俺達は初キスを交してたというのに、


俺がファーストキスを奪った、と妃奈は被害者ぶる。

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