摩天楼Devil
何点か、油絵やポスターが飾られていた。


「社長が、アトリエとされていた部屋ですので……では、わたしは失礼します。発表を兼ねた、パーティーのことはご存知でしたよね?」


神崎不動産の跡取り披露パーティーといったとこだ。


「ああ、分かってる。気が早いことだな」


と、思わず漏らした。


正式に養子手続きをするのは、20歳以降か、大学卒業後か、などまだ細かいことは決められてないというのに……


「社長は本当に喜んでいらっしゃるんですよ」


「“本当の息子”には、もう永遠に会えないというのに?」


元々真顔だった木島さんの表情は、ますます固くなったように見えた。


彼は無言で頭を下げ、部屋を出ていった。


ふぅ、と息を吐き、初めてきた部屋というのに、ソファーに寝転んだ。


“自由の期間”いつまでかは決めてなかった、

卒業までと言われると考えてた、

というわりには、本当に早々と先のことは決められ、

1ヶ月後には、披露パーティー


< 232 / 316 >

この作品をシェア

pagetop