摩天楼Devil
「……ああ、そう……」
それから、車内の空気は重苦しいものに変わった。
木島さんは本当に、“彼”を知らないのか?
やはり、気になってた。
どうにか、問いただそうかとしたときだ。
何となく視線をやった窓の外。
あるブランドのショップのウィンドウに、
女の子がかじりついてた。
“俺達”の思い出の店。
今まで黙ってた木島さんが言った。
「以前、この辺りで停車するよう言われましたね。あの時、初めてあなた様の表情を窺えました」
「は?」
「能面みたいでしたよ。無表情で。
時折、張り付いたような笑みを作ったりされてましたが……先ほどの記者会見の時のように、ね」
「き、しま……さん?」
困惑する俺に、彼は更に言う。
「何か、宝物を発見したかのような、目が輝いてましたよ。
“彼女”なんでしょう。桜田妃奈様」
「やめてくれ」と、今度は俺が言う。
が、木島さんは聞かなかった。
それから、車内の空気は重苦しいものに変わった。
木島さんは本当に、“彼”を知らないのか?
やはり、気になってた。
どうにか、問いただそうかとしたときだ。
何となく視線をやった窓の外。
あるブランドのショップのウィンドウに、
女の子がかじりついてた。
“俺達”の思い出の店。
今まで黙ってた木島さんが言った。
「以前、この辺りで停車するよう言われましたね。あの時、初めてあなた様の表情を窺えました」
「は?」
「能面みたいでしたよ。無表情で。
時折、張り付いたような笑みを作ったりされてましたが……先ほどの記者会見の時のように、ね」
「き、しま……さん?」
困惑する俺に、彼は更に言う。
「何か、宝物を発見したかのような、目が輝いてましたよ。
“彼女”なんでしょう。桜田妃奈様」
「やめてくれ」と、今度は俺が言う。
が、木島さんは聞かなかった。