摩天楼Devil
やっ、と小さな悲鳴をあげ、妃奈はベッドを下りようとした、俺の腕を掴む。


「服直さなきゃいけないだろ? そこの廊下で電話するだけだ」


「電話?」と、彼女は不安げに首を傾げる。


「木島さん。君を送らせる」


「……もう、会えないんだ……?」


俺は無言で、腕にあった彼女の手を外した。



< 274 / 316 >

この作品をシェア

pagetop