摩天楼Devil
「な、何してやがる……!?」


シュンちゃんの言葉に、やっと彼は離れた。

私の唇を優しく拭うように撫でながら、篤志さんはシュンちゃんを見る。


「分からないか? キスしたんだ……こうやって……」


――へ? ちょっとストップぅ~!!


再び、唇を近づけてきた男性を止めたかったが、力かなわず、


今度はすぐに侵入された。


いっそ、シュンちゃんに止めてほしかったが、あまりのことに、彼も固まってた。


篤志さんから送られる舌と水分。


頭がクラクラして、熱っぽい。


やっと止めてくれたと思えば、私自身は立っていられず、無意識に彼にしがみついた。


「妃奈。相変わらず、弱いな。いつまで経っても慣れてくれないんだな。息つぎの方法、分からないのか?」


――そ、そんな問題では……


全くその通りと言わんばかりに、シュンちゃんが怒鳴る。


「なんだ。その口ぶり!? まるで、てめぇ……初めてじゃねぇみたいな……!!」


「ああ、鈍感な奴だな。単純なくせに」


「鈍感!? 単純!?」


と、シュンちゃんは食ってかかりそうな勢い。


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