摩天楼Devil
「こちらは、お気に召すかわかりませんが……」


と、ある有名菓子ブランドのロゴが入った紙袋を渡す。


「まぁ、申し訳ないわ」とママが言えば、


「いえ、大切なお嬢様をお借りして、申し訳ないのは、こちらの方です」


――あんた、誰!?


「いえ、いいんですのよ。逆に、こんなので申し訳ないくらいですわ」


オホホホ、と彼女は笑った。


娘に向かって、こんなの、って。


「いえ、素敵なお嬢様ですよ。気が利きますし、助かっています。お陰で勉強もはかどります。

それに、僕は恥ずかしながら、友人も多いとは言えませんので、嬉しかったです」


まさに誠実なお顔。


ママから見ればね。


私からはただのお面にしか見えない。
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