摩天楼Devil
「これからもよろしくお願いします。簡単な挨拶で申し訳ないですが、失礼させていただきます」


ほっ、やっと帰る。


安堵したその時、


「叔父さんに届けてほしいものがあるから、ついでに送って差し上げて」


と、ママ。


「はぁ?普通は男が女を送るものでしょ!」


絶対、断る。

ママなら喜んで、自分が行くって言うだろう。


「おっと、すみません。メールが来てます……」


藤堂さんが携帯を取り出す。


「あ、叔父さん……からかなぁ」


と、隣にいた私に、携帯の画面を見せる。


――ゲッ


そこには舌を出した私の顔と、藤堂さんの唇。


「ああ、本当!叔父さんが、私に用があるから連れて来て、ですってぇ。ママ、行くわぁ」
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