摩天楼Devil
「あらそう、丁度よかったわね。じゃ、待ってて」


と、ママはキッチンへ。


「本当に丁度よかった」


彼がボソッと呟く。


「消してください!」


「あんま興奮すると、おばさんに気付かれるよ」


藤堂さんはメガネを引き上げる。


やたら、その姿が冷たいので、今度は控えめで言った。


「実は……本当にバイトしたいんです……。だから、お手伝いはしても構わないんですけど、バイトと勉強を優先させてもらっていいですか?」


勉強はあまりしないけどね。


「お待たせぇ」


彼の返答を聞く前に、ママが紙袋を持ってきた。


どうやら、それが叔父さんに渡すものらしい。
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