摩天楼Devil
「……大丈夫か?」


「う、うん。なんとか……」


想像してたのよりは、まだマシだった。


「ゆっくりお休み。さっきも言ったな。休めなかったけど」


カァ、と全身が熱くなる。


「お休み、って言ってるのに」


「あ、篤志が寝たら寝る」


「もう寝るよ。おやすみ」


篤志はおでこにキスをした。




――翌朝


目が覚めると、すぐに、「おはよ」と声をかけられた。


彼はジーンズとシャツというラフなスタイルで、ベッドの横に立ってた。


「あ、おはよう」


私はシーツから出ようと、それを剥いだ。


スースーとした感覚に、あれ?と下を見る。

何も着けてない上半身がそこにある。


「ありがとう、妃奈。でも、朝からそんな元気ない」


と、篤志が笑う。


キャ、とシーツを引っ張って、また隠そうとしたとき、ツキンとした痛みが。


「いた……」


「妃奈? まだ痛むのか?」


彼は申し訳なさそうに、抱き寄せる。


「平気。昨夜ほどは痛くないから。シャワー借りていい?」


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