摩天楼Devil
神崎社長と藤堂雅彦さんは、はっきりいって、私みたいなガキが気軽に会えるような人物じゃない。


「はい、正直なところ……」


言い訳なんかさせてもらえなかった。


彼は隣に座り、私を膝に乗せた。


「義父のことはまた、考えるとして――」


篤志さ、篤志はバスローブを肩から下にずらした。


腰紐まで、バスローブは開かれる。


「あ、篤志……!?」


「触るぞ」


私は必死で彼の両手を掴んで止めた。


お蔭で身体を隠せない。


「あ、篤志。か、肝心なこと忘れてるよ!私はもう泊まれないの!一泊だけなんだから、明日の朝はいないよっ」


「悪い子になっちゃえば?無断外泊」


篤志は熱い吐息を耳元にかける。


半裸状態だから、より恥ずかしい。

だけど、平坦な胸元はスースーする。


「妃奈、触らないから手放して」


「信用できないっ」


「ギュッとするだけは?いいだろ?」


彼はずるい。

そんな風に言って、頬にキスされると、逃げられない。


ちゅうされて、私はあっさり承知した。


格好はそのままで、膝の上で背後からギュッと、腕をまわされた。


篤志はおでこを寄せてるようで、髪の毛が背中をくすぐる。


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