摩天楼Devil
「妃奈、肌すべすべ。あったかいし、眠くなってきた」


「もう、眠っちゃだめ……」


ガチャンと、鍵の開くような音がした。


「篤志……?なんか、音が……」


立とうとしたが、彼が腕に力を込めた。


「妃奈、バスローブ直して」


わけも分からぬまま、恥ずかしいのもあって、それは従う。


その間も後も、彼は離してくれない。


それだけでなく、私の身体を横にし、今度は私も相手の首に腕をまわす状態に。


「篤志」


大きくはないが、圧力のありそうな声がして、振り向くと……


「無神経な人だ。息子が女性を連れ込んでるところに、自分の所有とはいえ、乗り込んでくるとは」


冷静に返す篤志さん。

まるで、来ることを予知していたよう。


でも、さっき明日って……いや、それもだけど、離してよ。

と願いながらも、背後にいる神崎社長が怖くて、無意識にしがみついてた。


「彼女は、桜田妃奈 だな?」


神崎社長も、冷静にそう言った。




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