摩天楼Devil
「で?……えぇっと……何かありましたっけ?そこからなんか吹っ飛んでるんですけど」


篤志は、目を細める。


私は頭を抱えて、再び記憶を探る。


ダメだ。どうしても、翌日に飛ぶ。


朝、叔母さんが起こしてくれて、ご飯も用意してくれてて、


でも、気持ち悪くて、お味噌汁だけ飲んだ。


叔父さんが、二日酔いには、味噌汁だ、って。


「そうそう。私って、すごくお酒に弱い体質みたいで……いや、未成年だから飲むわけないよ。烏龍茶とウーロンハイ間違えて」


「聞かなくても分かってる」


彼はまだ苛立ってる。


他に何かあんの!?


「あ、そういえば――」


「なんだ?やっと、思い出したか」


いや、そうじゃなくて。


「私、どうやって叔父さん達の家に戻ったんだろ?訊いておけばよかった」


「妃奈」と優しい声で、篤志はにっこり笑う。


ひざまずいてるから、本当に王子みたいでドキドキした。


「間置いた方がいいから、今はまだできないけど」


何のことだろ?


「うん?」


と、返すと、彼は豹変した。


急に立ち上がると、顎を持ち、引き上げた。


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