摩天楼Devil
ふーん、意外と優しいのかなぁ。


ちょっと感謝してたのに、横断歩道を渡り終えると、


「今日はお風呂沸かして……そうだな、料理くらいできるだろ?何か夕飯作っておいてくれ。仕上げたいレポートがあるんでな」


と、命令が下る。


「やです。他人のために料理するなんて、柄じゃないですから。掃除はしますよ。写メバラまかれても困りますから」


「こちらが指示したことを全てできないのなら、代償は同じだ」


「どういう意味ですか?」


藤堂さんは立ち止まり、またメガネを引き上げる仕草をした。


「君が恐れてることが、現実になるってこそさ。一つでも逆らうとね」


「……か、簡単なものしか……作れませんよ?」
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