摩天楼Devil
「いいか?100円笑うものは、100円に泣くぜ。

どうせ、楽して儲けようとか、華やかな世界で稼ぐとか、

そんな妄想して、叔父さんの話に釣られたんだろ」


はい、当たりぃ、なんて言えないけどさ。


「いや、ちゃんと働く気はありましたよ」


「ワンピースのために?」


藤堂さんは、目を細める。


ワンピースの話なんて、したっけ?


「なんで知ってんの? って言いたそうな顔してんな。ま、気にすんな」


彼は愉快げに笑い、メガネケースに手を伸ばす。


思わず、「かけちゃうんだ……」と口にしてしまった。


「何?」と、今度は不快そうに、藤堂さんはこちらを見る。


「いや、その……メガネも素敵なんですが、してない方もいいなぁ、なんて……」
< 43 / 316 >

この作品をシェア

pagetop